シャンプーの仕方とコツ講座

水やシャワーを嫌がるワンちゃんって多いですよね。
おうちでシャンプーしてみたいけど、実際やるとなると色々不安や疑問が尽きません。 でもトリマーさんは水嫌いのワンちゃんも最後まで綺麗にシャンプーしてくれます。 今回はそんなトリマーさんのシャンプーの仕方を徹底解明してみました。
それぞれのポイントや正しいケアをご紹介して、オーナー様のシャンプーの手間や経済的負担が軽くなって、シャンプーを楽しんでもらえたら嬉しいです。

1.よーくブラッシングをしよう!

毛玉やほつれを残したまま水に濡れてしまうと、毛玉はどんどん固くほぐれにくくなってしまいます。
周りの健康な毛まで巻き込むだけでなく、放置すれば毛玉は皮膚病の原因になるので、シャンプー前にしっかりとブラッシングをしてあげましょう。
ブラッシングの手順は以下の通りです。

コームの荒目でクシがスムーズに通るか確認。

荒目が通ったら細目も通してほつれの確認をしましょう。 その際無理に根元からやらずに、毛先から徐々にとかしてあげましょう。
※毛玉のできやすい場所→脇・足先・耳の裏や付け根・内腿・喉や胸元・尾の付け根など

コームがひっかかったら、そのつどスリッカーを使ってとかしていきます。

スリッカーは毛の縮れを伸ばしたり、もつれや毛玉や抜け毛の処理をするのに用いられます。
スリッカーは表面をなでてもあまり毛玉はとけません。
毛玉は根元に近いほうにできることが多いので、しっかりと左手で毛を掻きあげて右手でスリッカーを使って毛先からとかしていきます。
その際、力任せにすると皮膚を傷めてしまうので、スリッカーのピンが刺さらないように軽いタッチで少しずつ作業を進めましょう。

コームで毛玉がとけたかどうか確認。

またひっかかるようであれば、もう一度スリッカーでブラッシング。

スリッカーでもとけないようなフェルト状などの毛玉は、毛の流れに沿ってハサミを入れてみましょう。

ハサミを入れたところから、指やスリッカーなどを使ってほぐしていきます。
※わんちゃんは急に動くことがあるので、刃先は決してわんちゃんに向かわないように入れましょう。
あまりに時間がかかりそうなときは、無理にやるとわんちゃんに負担がかかるのでサロンへ行って一度短いバリカンを入れてもらうのもいいでしょう。
毛玉が皮膚に近い場所に発生している場合、無理にご家庭用で作業しようとすると皮膚を切ってしまう恐れがあります。

2.シャワーに慣れよう!

ブラッシングができたらいよいよシャンプーです。
わんちゃんの皮膚は人間よりも薄くて敏感なので、お湯の温度は35度前後がいいでしょう。 (人間の手の甲にあてて、ぬるいと感じるくらいの温度)
温度が調節できたら、お尻のほうからそっと濡らして徐々に慣らしてあげましょう。
その際、遠くからシャワーを当てるとわんちゃんがびっくりしてしまうので、シャワーヘッドをわんちゃんの地肌に当てながら濡らしていきます。
大きな音がしないし、皮膚のマッサージにもなって汚れをより浮き出すのでオススメです。
自分の頭をシャンプーするときに試してみましたが、お湯がしっかりと頭皮に行き渡るのがよく分かります。

3.肛門腺しぼり

肛門腺といっても、耳慣れない言葉と思われる方も多いのではないでしょうか。
わんちゃんや猫ちゃんは肛門の横に小さな袋を持っていて、そこに分泌液を溜めています。分泌液はウンチと一緒に出したり、お尻を壁や物にすりつけてマーキングをしたりするためにあります。
しかしこの肛門腺、自力で出し切れなくて溜まりすぎてしまうわんちゃんが多いのです。
分泌液が溜まりすぎると炎症を起こしたり袋が破裂したりして、痒みや激しい痛みが生じて外科手術をしなければならないこともあります。
たまり具合は個人差がありますが、わんちゃんがしきりにお尻を気にしていたり、おすわりの姿勢のままずりずりお尻歩きをするのを見かけたら要注意です。

わんちゃんは痒みか痛みを感じているかもしれません。 特に小型犬や老犬、肥満ぎみのわんちゃんに多く見られるようです。 肛門腺のしぼり方は一度覚えてしまえば簡単ですが、場所やコツを覚えるのがちょっと難しいので動物病院やサロンでわんちゃんと一緒に直接やり方を聞いてみるのがいいでしょう。
一度プロに見てもらうことで、オーナー様のわんちゃんが溜まりやすい体質かどうかも教えてもらえます。 ちなみにこの肛門腺の分泌液は、その役割上とってもにおいが強くて落ちにくいので、オーナー様の服や家具についてしまわないようご注意ください。

4.おしりからシャンプーをしよう!

目や口にシャンプーが入らないよう、シャンプーはお尻からはじめていきましょう。
先述しましたが、わんちゃんの皮膚は人間よりも薄くて敏感です。
指の腹を使って、地肌をマッサージするようによく泡立てて優しくシャンプーしてあげましょう。
泡立ちが不十分だと汚れが落ちにくいだけでなく、滑りづらいので指に力が入ってわんちゃんの肌が赤くなってしまうことがあります。
足の指の間・耳・尾の付け根・シワの間などは脂が溜まりやすい場所です。
様子によっては2度洗いするなどしてしっかりと汚れを落としてあげましょう。

5.顔からシャンプーを流そう!

シャンプーが終わったら、今度は目に入らないうちに泡を落としてあげるため顔から流していきます。
シャワーを嫌がるようなら、スポンジにお湯を含ませて優しく泡を落としてあげましょう。
上を向かせて頭の後ろからそーっとお水を流してあげれば意外と大人しくしててくれます。
それでもいやがるかもしれませんが、目だけはしっかりとお湯ですすいであげましょう。
不安な方は、動物病院で洗浄用の目薬を処方してもらってシャンプー後に洗い流すように刺してあげるといいでしょう。

目が流せたら頭を流し、耳を流して、シャンプーが皮膚に残らないよう上から下へしっかりとゆすいであげて下さい。
シャワーヘッドを体にくっつけるようにして流してあげると泡がよく流れます。
脇やお腹、肛門周りや足の裏などは泡が残りやすいので注意しましょう。

6.リンスをしよう!

リンスはあらかじめ洗面器に入れてお湯で薄めておき、肩からお尻まで掛けながら手で行きわたらせます。
被毛が傷んでいたり毛玉が気になる部分には、濃い目の濃度でつけてあげましょう。

7.リンスを流そう!

リンスもすすぎ忘れは皮膚病やベタつきの原因なので、ヌルヌルしないか指で確認しながらよく流してあげましょう。

8.水気をしぼる

手で濡れた毛を絞って水気を取りましょう。
ある程度水気が取れたら耳に「ふーっ」と息を吹きかけると、犬がブルブルして耳の水気を飛ばしてくれます。
オーナー様もびちょびちょになるので、水気をタオルでよくとってからの方がいいかもしれません。

9.タオルで拭こう

絞ったらタオルで拭きますが、この際ガシガシと拭いてしまうとせっかくシャンプー前にとかした毛がまた絡まってしまいます。
女性がキューティクルをいたわるように、優しく拭いてあげましょう。

拭き終わったら、耳掃除や目薬、ブロー前用のトリートメントやスプレーを揉みこむなどの作業も済ませましょう。

10.ドライヤーを使ってブローしよう

洗って生乾きで自然乾燥する人もいますが、わんちゃんは毛の密度が高いので自然乾燥だと完全にはなかなか乾きません。
生乾きはムレてしまって皮膚にとってよくありません。
体が余計冷えてしまったり毛玉ができやすくなるだけでなく、肌が荒れて皮膚病の原因になってしまうこともあります。

せっかく綺麗にシャンプーをしたから、サロンにいったみたいに綺麗に仕上げてあげましょう。
まずはドライヤーを熱くなりすぎないようにわんちゃんから30cm以上離しながらあてていきます。
ドライヤーは胸もとのエプロンや肩と首で挟んで使うと両手が空くので便利です。
超短毛種の場合はラバーブラシを、それ以外の犬種はスリッカーを使って毛を起こしながら乾かします。
乾かし始めは水気を飛ばすために毛の流れに逆らってブラッシングし、ある程度乾いてきたら風で抑えながら気の流れに沿ってブラッシングしてあげると綺麗に仕上がります。

また、水は上から下へ流れていくので、背中から足へ向かって乾かすと2度ムレを防げます。
スリッカーはブラッシングのときと違って、毛を起こすために用いるので、手首の力を抜いて軽く毛を分けてあげる感じで使いましょう。
集中するといつの間にかドライヤーが近くなってすごく熱くなってしまうので注意してください。
ある程度乾いたら冷風に切り替えて、湿気を飛ばしながら濡れたところが残ってないか確認します。
冷風の当たってるところを指でさわって冷たく感じる部分があれば、まだ水分が残っています。

仕上げ!

最後にもう一度毛玉やもつれがないかコームで確認して、新しい服や首輪をつけてあげたら完了です。
終わったら、たくさんわんちゃんを褒めてあげるのを忘れないでくださいね。