熱帯魚図鑑 - エンペラーテトラ系 | チャーム

エンペラーテトラ

  • 淡水
  • 海水
  • 弱酸性
  • 中性
  • 弱アルカリ性
エンペラーテトラ
名称
エンペラーテトラ
学名
Nematobrycon palmeri
分類
カラシン目カラシン科
別名
エンペラー
分布
コロンビア ― サンジャン川、アトラト川
全長
最大50mm程度
飼い易さ
普通
熱帯魚飼育の基本が抑えられていれば、容易に飼育が可能です。
古くから入門向けとして愛されるポピュラー種です。
幅広い水質に適応できますが、弱アルカリ性に傾いた水はあまり好みません。
初期費用
安い
飼育だけなら水槽・フィルター・ヒーターの基本3点セットがあれば難なく飼育可能です。
水槽も小型の30cm水槽で十分、フィルターも安価な投げ込み式フィルターで十分、ヒーターも26℃固定式のオートヒーターでも十分です。
ただしヒーターに関しては、できれば水温調節が可能なタイプで23℃くらいに設定するとより状態良く飼育できます。最も安価なランクの器具でも、問題無く飼育可能です。
混泳のしやすさ
やや混泳向き
基本的には温和で水質にもうるさくありません。
群れる性質があるため1匹で飼育するよりは、基本的に5匹以上のまとまった数での飼育がオススメです。
一般的なテトラ類に比べると少々気が強い面を見せますが、水草を十分に植え込むなど隠れ家を作ればさほど問題無いレベルです。体長が同程度で、弱酸性付近の水質を好む温和な魚種とであればほとんど混泳可能です。テトラ系の小型カラシンや、コリドラスなどの低層魚は特に相性に優れます。
水草
可能
水草との相性も抜群です。
弱酸性の水質を好むため、ソイルの使用やCO2添加とも相性が良いです。
美しくなびく水草レイアウトにテトラ類を群れで泳がせると、大変美しい水景を表現できます。
また、本種の好む水温が水草に適したやや低めの温度になることから、水草レイアウト水槽では大活躍してくれます。
水温
やや低め
24℃前後とやや低めの水温が適温で、22~26℃まで適応が可能です。
基本的な飼育には、飼育水槽サイズに適したヒーターが1本あれば十分です。
できれば温度調節可能なタイプが望ましいです。
22~26℃と比較的幅広い水温に適応が可能です。
一般的な熱帯魚としてはやや低めとなる、23~24℃くらいの方がこのグループは調子が良いです。
できれば温度可変式のヒーターの方が好ましいですが、一般的な温度固定式のオートヒーターでも飼育は可能です。
寿命
普通
寿命は3年程度です。
テトラ類としてはやや長めです。

エンペラーテトラについて

エンペラーテトラについて

エンペラーテトラ系のグループは、南米大陸、アマゾン川関連水系に局所的に生息し、見る角度によって色味が変わるメタリックなブルーが美しいグループです。
シックでありながら上品な美しさを持ち、水草水槽で十二分に主役を張ることができます。「エンペラーテトラ」「インパイクティスケリー」の2種は主に東南アジアからブリード個体が比較的安定して入荷します。「レインボーテトラ」は主にコロンビアからのワイルド個体が不定期に入荷します。

エンペラーテトラはコロンビア原産で、メタリックブルーが美しいだけでなくオスは各ヒレが伸長し単独でも見ごたえのある姿になります。

インパイクティスケリーはブラジル、マディラ川上流域原産で、ヒレは伸長しませんがエンペラーテトラよりも青みが強く、また品種改良によるバリエーションがいくつか知られています。
日本には上皇陛下が皇太子時代にブラジル訪問の際に寄贈されたものを、宮内庁からの依頼を受けた東熱帯研究所のプロブリーダー、東博司氏がブリードに成功させました。

レインボーテトラはコロンビア原産で、エンペラーテトラとよく似た魚です。
交雑もするほど近い関係にあるようです。エンペラー同様オスは各ヒレが伸長しますが、青みは強くなく見る角度によって色が変わります。さながら、名前の通り虹のような美しさがあります。
一旦落ち着けば丈夫な種ですが、輸入状態が悪いことや、入荷直後の状態の回復が難しいこともあり入荷量は少なめです。低いpHが飼育成功のポイントです。

バリエーション

エンペラーテトラの飼育方法

給餌
  • 浮上性
  • フレーク
フレークでも粒のものでも、どちらも食べます。何でも良く食べ餌付けには苦労しません。口が小さいため粒の場合は小粒のものを与えましょう。浮上性のほうがおすすめです。
1回5分で食べきる程度の量を、1日2~3回程度に分けて与えるのが理想的です。
食べ残しが出るようであれば、網ですくいとって除去しましょう。
水温
  • 22~26℃
24℃前後とやや低めの水温が適温で、22~26℃まで適応が可能です。
基本的な飼育には、飼育水槽サイズに適したオートヒーターが1本あれば十分です。
美しく仕上げるならば、温度調節可能なタイプが望ましいです。
水温が20℃を下回る場合はヒーターが必要です。
水温が30℃以上になる場合は冷却ファンを使用してください。
水温が35℃以上になる場合は、クーラーも必要です。(ただしこの場合は、そもそもの飼育環境自体を見直す方がおすすめです。)
換水
  • 週1回
  • 約50%
週に1回、約半分の水を残して水換えします。
新しい水は水槽の水と同じ温度に合わせて置き、カルキ抜きなどで塩素を中和してから入れます。
病気
  • 白点病
  • 尾腐れ病
  • 白点病
    春先や秋口など、水温の変化がある時期に発生しやすい病気で、体表に白い点が付きます。メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの青色系の色素剤の魚病薬が有効です。
  • 水カビ病
    ヒレや体表に傷がある場合に発生しやすい病気で、体表にカビのようなもやもやが付きます。白点病と同じく、メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの青色系の色素剤の魚病薬が有効です。
  • 尾腐れ病
    尾ヒレの先端が初期症状ではパサパサと裂け、重症化すると尾ヒレが溶けるように細菌に浸食されていきます。水換えやフィルター掃除を長期間していないことによる水質の悪化や、傷口からの細菌の侵入により発生しやすいです。
    フラン剤やオキソリン剤を含む、黄色系の抗生物質の魚病薬が有効です。
特徴
  • 見る角度によって色味が変わるメタリックブルー
体上半分のメタリックブルー、濃い青のラインと青く輝く目が特徴で、オスの尻ビレはフォーク状になります。
シックで上品な美しさを持つうえ、発情したオスは体色がさらに鮮やかになり伸長するヒレも立派で見ごたえがあります。
他のテトラ類に比べるとオスメスは区別しやすい方で、メスも十分な美しさがあります。
状態良く飼育すると体上半分のメタリックブルーが深みを増して輝き、見る角度によって色味が変化し非常に鑑賞性に優れた魚です。

エンペラーテトラの生態

エンペラーテトラ

分類的にはカラシンの仲間に属します。
日本にカラシンの仲間の魚種は分布しておらず、主に北米・中南米・アフリカを中心に分布するグループとなります。
意外かもしれませんが、ピラニアもエンペラーテトラと同じカラシン科の魚であり、遠い親戚にあたります。
他のテトラ類に比べるとオスメスの区別はしやすい方で、オスは青みが強く、ヒレが伸長する傾向があります。
オスはテリトリー意識が強く小競り合いをしますので、水草を十分に植え込んでおくとよいでしょう。

エンペラーテトラのグループは飼育するだけなら簡単ですが、より良い発色を楽しむためにはちょっとコツが必要です。
24℃ぐらいのやや低めの水温設定と、頻繁な換水による清浄な水質の維持、そして弱酸性の軟水を保つことで、最高の発色を見せてくれます。

繁殖が難しいと言われるカラシンの仲間にしては、比較的繁殖は狙える部類に入ります。
十分に成熟したオス1匹とメス2匹をウィローモスと共に入れておくと良いでしょう。
数回に分けて産卵行動をし、稚魚は他の小型カラシンに比べて育てやすく、沸かしたてのブラインを食べることができます。

エンペラーテトラの飼育セット

エンペラーテトラ水槽の立ち上げに必要な物が全て揃った水槽セットです。
扱いやすい30cm水槽とフィルター、LEDライト、水温計、カルキ抜き、エサ、底砂がセットになっています。
お好みで水草や石、流木などを別途追加することで、ご自由にレイアウトを作成いただけます。
水槽を立ち上げて2週間ほど動かしたら、本命のエンペラーテトラを泳がせましょう。

テトラ飼育セット

セット内容
説明
標準的な30cmキューブ水槽にヒーター、フィルター、ライトがセットになった、熱帯魚飼育の基本セットです。
オールガラス水槽にはじめてでも扱いやすいフィルター、ヒーターが付属します。

その他のおすすめセット

エンペラーテトラ飼育用品の選び方

水槽
扱いやすく、美観にも優れる30cmキューブ水槽がおすすめです。
水槽台
水槽は30cmキューブ水槽専用の水槽台に設置しましょう。
照明
幅30cm水槽に適合したものを選びます。
水草を植える場合は明るさを示すlm(ルーメン値)に着目して高いものを選ぶと良いでしょう。魚だけの場合は、安価な物でも問題ありません。
フィルター
はじめての方には水中フィルターがオススメです。
水中モーターで汚れを吸い込み、濾しとって綺麗になった水をまた水槽に戻すフィルターで、専用ろ材がセット済みなため電源を入れるだけで動作する扱いやすいのが特徴です。
水槽外にフィルターがはみ出さないので、水槽外をすっきりコンパクトに設置できます。
底床
水質に大きく影響を与えないものであればほとんどの種類が使用可能です。
弱アルカリ性の水はあまり好まないため、水質を弱アルカリに傾けるサンゴ砂はあまり向いていません。
水質を弱酸性に傾けるソイルがオススメです。大磯砂も定番です。
ソイルであれば、水洗い不要でそのまま水槽に投入できるのもメリットです。
その他、石灰質を含まない砂利・砂・ソイル系であればお好みで選んでよいでしょう。
ヒーター
26℃設定の、水量25L以下に対応したオートヒーターで十分です。
80W程度が目安となります。
フード
フレーク、顆粒どちらのタイプも食べます。 顆粒の場合、できるだけ小粒で浮上性のものが良いでしょう。
テトラは各社より専用飼料が発売されておりますので、お好みの物1種与えれば、基本的には十分です。餌付けにも苦労することはほとんどなく、与えれば食べます。
水温計
ヒーターが正常に稼働しているかどうかの動作確認に必要です。
数字の読み取りがしやすい、お好みのサイズ・デザインのものを選ぶと良いでしょう。
正確性を求める方は、デジタル式のタイプもオススメです。
カルキ抜き
水換えの際の必需品です。
多くのご家庭では水道水を使用していると思います。水道水には魚にとっては有害な塩素が含まれており、この中和のために使用します。
コンディショナー効果も付加させた製品もあります。なお、水道水ではなく井戸水を使用しているご家庭では、使用しなくとも構いません。
バクテリア剤
水槽の立ち上げを早めるろ過細菌(バクテリア)です。
水槽の立ち上げ初期に添加すると水槽の立ち上がりが早くなると言われています。
水換えホース
水槽の水換えの際に必要なサイフォン式ホースです。
砂利の中からゴミだけを吸い出せるタイプの製品が理想的です。1週間に1回程度、このホースを用いて水槽内の汚れを吸い出します。