熱帯魚図鑑 - ベタ | チャーム

ベタ

  • 淡水
  • 海水
  • 弱酸性
  • 中性
  • 弱アルカリ性
ベタ
名称
ベタ
学名
Betta splendes var.
分類
スズキ目キノボリウオ亜目キノボリウオ科
別名
闘魚
分布
改良品種(原種:タイ)
全長
最大100mm程度
飼いやすさ
易しい
熱帯魚飼育の基本が押えられていれば、容易に飼育が可能です。
小さなビンでも飼育できるとされていますが、できれば水槽で飼育した方が長期飼育がうまくいきます。
初期費用
安い
飼育だけなら水槽、フィルター、ヒーターの基本3点セットがあれば飼育可能です。
水槽サイズは小型の30cm水槽、フィルターは投げ込み式フィルター、ヒーターは26℃固定式のオートヒーターと、最も安価なランクの器具でも十分に飼育可能です。
混泳のしやすさ
可能
(条件あり)
ベタ以外の魚とは混泳が可能です。ベタ同士の場合、メスは可能ですがオスは不可です。
他種と混泳させる場合、ベタより小さい魚とであればうまくいくことが多いです。
おっとりした泳ぎなので気の強い魚とは一緒に飼育できません。
ベタのオス同士はどちらかが力尽きるまで激しくけんかする習性があるため、必ず単独で飼育します。
ペアでの飼育でも、メスがオスに攻撃されてしまうことがあるために相性が重要です。
初めての飼育なら、オス1匹を単独飼育するのが無難でしょう。
水草
可能
水草との相性も抜群です。
弱酸性の水質を好むため、ソイルの使用やCO2添加とも相性が良いです。
優雅になびく水草レイアウトにベタを泳がせると、華やかな水景を表現できます。
水温
普通
20~28℃と比較的幅広い水温に適応が可能です。
多くの種では最も調子が良いのは25℃前後で、この付近の水温にしておくのが理想的でしょう。
一般的な温度固定式のオートヒーターでも十分です。
寿命
普通
一般的には3~5年程度です。

ベタについて

ベタ

タイ原産のラビリンスフィッシュ「ベタ・スプレンデス」と呼ばれる魚の改良品種です。
オスメスで大きく姿が異なり、オスは非常に美しく立派なひれが魅力的です。メスのひれは小さくコンパクトです。
一般的に、観賞魚としてオスの方が人気があります。
原産地ではオス同士は激しく戦うことから”闘魚”として賭けの対象とされ、より強い血統を求めて品種改良がなされてきた歴史があります。
この過程で美しく観賞価値の高いものが生まれ、現在観賞魚としてのベタの主流になっているのはこのタイプをベースとしたものです。
これらは「ショーベタ」と呼ばれ、古くから知られるトラディショナルと呼ばれるタイプの他、尾形によってダブルテール、デルタテール、クラウンテール、ハーフムーンといったタイプが知られます。
体色は主に赤、青、黒、白、黄、マーブルがあり、これらの組み合わせによってさまざまな表現が見られます。また、年々品種改良が進み、毎年のように新しい品種が開発されています。
本来の目的とされた闘魚に用いられる改良品種は、尾びれが丸く小さい「プラガット」と呼ばれるタイプで、こちらは原種に近い形態と強い闘争本能が魅力的です。
近年ではプラガットでも美しさを重視する改良が行われ、鯉ベタなどの人気品種が作出されています。

バリエーション

ベタの飼育方法

給餌
  • 浮上性
  • 顆粒
フレークでも粒でも、どちらも食べます。何でもよく食べ餌付けには苦労しません。口が小さく、粒なら小粒のものを与えましょう。浮上性タイプがおすすめです。
1回5分で食べきる程度の量を、1日2~3回程度に分けて与えるのが理想的です。
食べ残しが出るようであれば、網ですくい取りましょう。
水温
  • 20~28℃
25℃前後が適温で、20~28℃と幅広い水温に適応が可能です。
基本的な飼育には、飼育水槽サイズに適したヒーターが1本あれば十分です。
以下を目安にしてください。
・水温が20℃を下回る場合はヒーターが必要です。
・水温が30℃以上になる場合は冷却ファンを使用してください。
・水温が35℃以上になる場合は、クーラーも必要です。(水温が35℃以上の場合は、そもそもの飼育環境自体の見直しをおすすめします)
換水
  • 週1回
  • 約50%
週に1回、約半分の水を残して水換えします。
新しい水は水槽の水と同じ温度に合わせておき、カルキ抜きなどで塩素を中和してから入れます。
病気
  • コショウ病
  • 尾腐れ病
  • コショウ病
    春先や秋口など、水温の変化がある時期に発生しやすい病気で、体表に非常に細かい粒が付きます。
    白いコショウをかけたような症状からコショウ病と名が付いたとされています。
    ウーディ二ウムという寄生虫が体表に寄生することによって発症する病気です。
    メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの青色系の色素剤の魚病薬が有効です。
    白点病と似たような病状を確認することができますが、白点病より小さいので発見しにくく、悪化しやすいです。
    感染力が強いだけでなく、進行が比較的早いので、早期発見・治療が重要になります。
    塩分で予防することができるので、可能であれば塩分を入れるのが良いでしょう。
  • 白点病
    春先や秋口など、水温の変化がある時期に発生しやすい病気で、体表に白い点が付きます。
    コショウ病よりも粒のサイズが大きめです。
    治療法は同様で、メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの青色系の色素剤の魚病薬が有効です。
  • 水カビ病
    ヒレや体表に傷がある場合に発生しやすい病気で、体表にカビのようなもやもやが付きます。
    白点病と同じく、メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの青色系の色素剤の魚病薬が有効です。
  • 尾腐れ病
    尾ひれの先端が初期症状ではパサパサと裂け、重症化すると尾ひれが溶けるように細菌に浸食されていきます。水換えやフィルター掃除を長期間していないことによる水質の悪化や、傷口からの細菌の侵入により発生しやすい病気です。
    フラン剤やオキソリン剤を含む、黄色系の抗生物質の魚病薬が有効です。
  • エロモナス感染症
    初期症状では、皮膚の一部が充血し、やせ細ってぐったりとした様子になります。
    症状が進行するとひれに張りが無くなり、体表がえぐれ穴が開いたような状態になることがあります。
    水槽内の常在菌であるエロモナス菌が原因菌であり、他の魚種で松かさ病や穴あき病を起こすものと同じ菌です。
    治療は難しいですが、初期症状のうちにフラン剤やオキソリン剤を含む、黄色系の抗生物質の魚病薬を使用することで有効な場合があります。
特徴
  • 手軽さと美しさ
低酸素、低水温や低pHにも強く、病気にさえならなければ丈夫な魚であることから、ビンなどでも飼育が可能で、最も手軽に接することができる熱帯魚といっても過言ではありません。
とはいえ、できればビンよりも水槽で飼育した方が上手に飼育できます。
ベタはグッピーなどとは異なり、血統だけで美しさが決まるわけではなく、尾びれを広げる訓練によって更に磨きをかけることができます。
1日数分~最大で10分程度、鏡を見せると、映った自分の姿を敵だと思い込んだベタがひれを広げ激しく威嚇を始めます。
これは「フィンスプレッディング」と呼ばれ、これを毎日繰り返し鍛えることで、よりひれの開きが立派になっていきます。

ベタの生態

ベタ

分類としてはスズキ目キノボリウオ亜目キノボリウオ科に属します。
キノボリウオ科はグラミーなどを含むアナバス系の熱帯魚が属するグループです。
日本にいる近縁な魚としては沖縄地方に分布するタイワンキンギョと、霞ヶ浦水系等に外来種として定着しているチョウセンブナが含まれます。
これらのグループに属する魚は「ラビリンス器官」という固有の器官を持ち、エラ呼吸だけでなくこの器官を用いることで直接空気中から酸素を取り込むことができます。
このため、酸欠に強く、エアレーションのない水槽内でも問題無く飼育ができるのです。
ベタばかりが取り上げられますが、理屈上では他のアナバスも同様に飼育ができます。
原産地では、水田や池、水たまりのような溶存酸素の少ないところに生活しており、このような環境に適応するためにラビリンス器官を発達させたと考えられます。

ベタのオス同士は一度対面すると温和な気性が豹変し、ひれやえらぶたを逆立て激しく威嚇します。
その後、どちらかが力尽きるまで死闘を繰り広げます。
あまりにも極端に思えますが、より強いオスが子孫を残していくべきという生存戦略なのでしょう。
成熟したオスは水面に泡でできた巣を作り、同じぐらい成熟したメスを見つけるとオスがメスに絡みつき、激しく情熱的な産卵行動をとります。
産み落とされた卵はオスが泡巣に運び、ふ化するまで何も食べずに泡巣を守り、卵の世話を続けます。
メスは何でも良いというわけではないようで、サイズ差があったり成熟が不十分だったりすると激しく追い回されてしまいます。相性が重要です。
ふ化後、稚魚が自由遊泳を開始したらオスの世話は終了します。
稚魚は大きい個体はブラインシュリンプを食べられることもありますが、多くの場合小型でインフゾリアなどの微小生物を用意する必要があり、育成の難易度は高いです。
生後3カ月程度でオスメスの区別がつくので、オスは個別に飼育します。

ベタ飼育セット

ベタ飼育用品の選び方

水槽
扱いやすく、美観にも優れる30cmキューブ水槽がオススメです。
水槽台
水槽は30cmキューブ水槽専用の水槽台に設置しましょう。
照明
幅30cm水槽に適合したものを選びます。
水草を植える場合は明るさを示すlm(ルーメン値)の高いものを選ぶと良いでしょう。魚だけの場合は、安価なものでも問題ありません。
フィルター
はじめての方には水中フィルターがオススメです。
水中モーターで汚れを吸い込み、こしてきれいになった水をまた水槽に戻すフィルターです。専用ろ材がセット済みのため、電源を入れるだけで動作する扱いやすいのが特徴です。 水槽外にフィルターがはみ出さず、水槽周りをすっきり設置できます。
ベタは水流を嫌うため、水流は壁に当て和らげます。
底床
水質に大きく影響を与えないものであればほとんどの種類が使用可能です。
ベタは弱アルカリ性の水はあまり好まないため、水質を弱アルカリに傾けるサンゴ砂はあまり向いていません。
定番は大磯砂で、水草を植える場合ソイルもオススメです。
ソイルは水洗い不要でそのまま水槽に投入できるメリットもあります。
その他、石灰質を含まない砂利、砂、ソイル系であればお好みで選んで良いでしょう。
ヒーター
26℃設定の、水量25L以下に対応したオートヒーターで十分です。
80W程度が目安となります。
フード
フレーク、顆粒どちらのタイプも食べます。 顆粒の場合、できるだけ小粒で浮上性タイプが良いでしょう。
テトラは各社が専用飼料を販売しています。お好みのものを1種与えれば、基本的には十分です。
餌付けにも苦労することはほとんどなく、与えれば食べます。
水温計
ヒーターが正常に稼働しているかどうかの動作確認に必要です。
数字の読み取りがしやすい、お好みのサイズ、デザインを選ぶと良いでしょう。
正確性を求める方には、デジタル式のタイプがオススメです。
カルキ抜き
水換えの際の必需品です。
家庭の水道水には魚にとって有害な塩素が含まれており、この中和のために使用します。
コンディショナー効果を付加させた製品もあります。
なお、井戸水を使用している場合、使用しなくとも構いません。
バクテリア剤
水槽の立ち上げを早めるろ過細菌(バクテリア)です。
水槽の立ち上げ初期に添加すると水槽の立ち上がりが早くなるといわれています。
水換えホース
水槽の水換えの際に必要なサイフォン式ホースです。
ソイルの中からゴミだけを吸い出せるタイプの製品が理想的です。1週間に1回程度、このホースを用いて水槽内の汚れを吸い出します。