熱帯魚図鑑 - ペンシルフィッシュ | チャーム

ペンシルフィッシュ

  • 淡水
  • 海水
  • 弱酸性
  • 中性
  • 弱アルカリ性
ペンシルフィッシュ
名称
ペンシルフィッシュ
学名
Nannostomus eques
分類
カラシン目レビアシナ科
別名
エクエスペンシル、ロケットペンシル、黒ペンシル、ブラウンペンシル
分布
ガイアナ、ブラジル ― アマゾン川、ネグロ川上流
全長
最大50mm程度
飼い易さ
普通
熱帯魚飼育の基本を抑えた上で、設備面に少し気を使えば飼育は可能です。
幅広い水質に適応できますが、弱アルカリ性に傾いた水はあまり好みません。
一度落ち着けば、丈夫な魚です。水合わせはじっくりと行いましょう。
高水温や水質の悪化で調子を崩しやすいため、注意が必要です。
また、口が小さいため、エサのサイズや混泳魚にも注意が必要です。
初期費用
安い
飼育だけなら水槽・フィルター・ヒーターの基本3点セットがあれば難なく飼育可能です。
水槽も小型の30cm水槽で十分、フィルターも安価な投げ込み式フィルターで十分、ヒーターも26℃固定式のオートヒーターで十分と、最も安価なランクの器具でも問題無く飼育可能です。
混泳のしやすさ
混泳向き
基本的には温和で水質にもうるさくありません。
群れる性質があるため1匹で飼育するよりは、基本的に5匹以上のまとまった数での飼育がオススメです。
体長が同程度で、弱酸性付近の水質を好む温和な魚種とであればほとんど混泳可能です。
テトラ系の小型カラシンや、コリドラスなどの低層魚は特に相性に優れます。
ペンシルフィッシュの中でも斜めに泳ぐナノブリコン属の種は混泳向きです。横向きに泳ぐナノストムス属の種は同種のオス同士は激しくケンカするので、十分な遊泳スペースが必要です。
水草
可能
水草との相性も抜群です。
弱酸性の水質を好むため、ソイルの使用やCO2添加とも相性が良いです。
美しくなびく水草レイアウトにテトラ類を群れで泳がせると、大変美しい水景を表現できます。
水温
普通
20~27℃と比較的幅広い水温に適応が可能です。
25℃前後で調子が良く、一般的な温度固定式のオートヒーターでも十分です。
寿命
普通
寿命は2~3年程度です。

ペンシルフィッシュについて

ペンシルフィッシュについて

南米大陸、アマゾン川関連水系に生息する細身のカラシンです。
鉛筆のような細身の体と、頭をやや上に向けて斜めに泳ぐ姿勢から「ペンシルフィッシュ」と呼ばれています。
落ち着いた美しい色彩のものが多く、水槽の名脇役です。色鮮やかなテトラ類と混泳させると、見事な水景になります。
またコケを食べることでも知られ、厄介な糸状の藻類を少しであれば食べてくれます。
ただしコケ取り専用としての採用にはやや力不足であるため、その役割に重きを置くならば、エビやオトシンクルスなど、より専門で食べる種に任せた方がよいでしょう。

大きく分けて2グループに分けられます。
・斜めに泳ぐナノブリコン属(ペンシルフィシュ、ワンラインペンシル)
・横向きに泳ぐナノストムス属(スリーラインペンシル、ベックホルディ種など)

ナノブリコン属の種は非常に温和で動きもゆったりとしているため、混泳魚やエサに配慮する必要があります。やや地味ながらも斜めに泳ぐ姿が可愛らしいです。

ナノストムス属の種の多くは発情したオスは赤い色彩が美しい反面、オス同士は激しくケンカします。また、メスは赤みを持たずやや地味な印象を持ちます。他魚との混泳ではそれほど神経質になる必要はありませんが、同種のケンカを和らげるため十分なスペースが合ったほうが良いでしょう。

これらとはまた別に、近いグループにコペラ属 がいます。
コペラ属もペンシルフィッシュに類似した性質を持つため、ここではバリエーションに加えます。

バリエーション

ペンシルフィッシュの飼育方法

給餌
  • 浮上性
  • フレーク
フレークでも粒のものでも、どちらも食べます。何でも良く食べ餌付けには苦労しません。口がかなり小さいため、粒の場合はかなり小粒のものを与えましょう。
サイズによっては、エサをすりつぶしてから与えるのも有効です。浮上性のほうがおすすめです。
1回5分で食べきる程度の量を、1日2~3回程度に分けて与えるのが理想的です。
食べ残しが出るようであれば、網ですくいとって除去しましょう。
水温
  • 20~27℃
25℃前後が適温で、20~27℃と幅広い水温に適応が可能です。
基本的な飼育には、飼育水槽サイズに適したヒーターが1本あれば十分です。
水温が20℃を下回る場合はヒーターが必要です。
水温が30℃以上になる場合は冷却ファンを使用してください。
水温が35℃以上になる場合は、クーラーも必要です。(ただしこの場合は、そもそもの飼育環境自体を見直す方がオススメです。)
換水
  • 週1回
  • 約50%
週に1回、約半分の水を残して水換えします。
新しい水は水槽の水と同じ温度に合わせて置き、カルキ抜きなどで塩素を中和してから入れます。
病気
  • 白点病
  • 尾腐れ病
  • 白点病
    春先や秋口など、水温の変化がある時期に発生しやすい病気で、体表に白い点が付きます。メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの青色系の色素剤の魚病薬が有効です。
  • 水カビ病
    ヒレや体表に傷がある場合に発生しやすい病気で、体表にカビのようなもやもやが付きます。白点病と同じく、メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの青色系の色素剤の魚病薬が有効です。
  • 尾腐れ病
    尾ヒレの先端が初期症状ではパサパサと裂け、重症化すると尾ヒレが溶けるように細菌に浸食されていきます。水換えやフィルター掃除を長期間していないことによる水質の悪化や、傷口からの細菌の侵入により発生しやすいです。
    フラン剤やオキソリン剤を含む、黄色系の抗生物質の魚病薬が有効です。
特徴
  • 斜めに泳ぐユニークな習性
テトラの仲間としてはやや異質なグループです。
細身の体で斜めに泳ぐ習性があり、群泳させると一様に同じ方向を向いて泳ぐ姿はユニークです。
種によっては調子が良いと見事な発色を見せるものもおり、混泳のアクセントとしても最適です。
ペンシルフィッシュの中には珍カラと呼ばれる種も多く知られます。
ナノストムス・アンドゥゼイはグリーンネオンテトラに極稀に混ざって輸入され、単独での輸入は非常に珍しいです。
また、ナノストムス・エスペイは数年に一度まとまって輸入されることからオリンピックフィッシュとも呼ばれます。いずれもコレクター心をくすぐる種として古くから愛好家に人気の種です。
また、ペンシルフィッシュと近縁なグループにコペラやピリューリナの仲間が知られます。
ペンシルフィッシュと同様に細身の外見を持つグループですが、単独での輸入は非常に稀で、他魚に混ざって輸入される程度です。
まさに真のマニア向けと言えるグループです。

ペンシルフィッシュの生態

ハチェット

分類的にはカラシンの仲間に属します。
日本にカラシンの仲間の魚種は分布しておらず、主に北米・中南米・アフリカを中心に分布するグループとなります。
ペンシルフィッシュのグループは、ネオンテトラなどが属するカラシン科とは異なる「レビアシナ科」に属します。
いわゆるテトラ類とは、少しだけ遠い親類関係にあります。
多くの種が頭を上に向けて斜めに泳ぎますが、なぜ斜めに泳ぐのか その理由は、よく分かっていません。
一般的なカラシン類に比べると草食傾向が強く、水槽内に生える藻類を食べてくれることもあります。
産卵はばら撒き型です。低pHで状態良くペアを飼育すると、産卵することがあるようです。
ウイローモスなどを高い密度で茂らせておくと、ばら撒かれても親による食卵を防ぐことができます。
稚魚の口はごく小さいため、ブラインシュリンプの幼生を食べられません。
育てるためには、インフゾリアなどの微生物を用意する必要があります。

ペンシルフィッシュの飼育セット

ペンシルフィッシュ水槽の立ち上げに必要な物が全て揃った水槽セットです。
扱いやすい30cm水槽とフィルター、LEDライト、水温計、カルキ抜き、エサ、底砂がセットになっています。
お好みで水草や石、流木などを別途追加することで、ご自由にレイアウトを作成いただけます。
水槽を立ち上げて2週間ほど動かしたら、本命のペンシルフィッシュを泳がせましょう。

ペンシルフィッシュ飼育セット

セット内容
説明
標準的な30cmキューブ水槽にヒーター、フィルター、ライトがセットになった、熱帯魚飼育の基本セットです。
オールガラス水槽にはじめてでも扱いやすいフィルター、ヒーターが付属します。

その他のおすすめセット

ペンシルフィッシュ飼育用品の選び方

水槽
扱いやすく、美観にも優れる30cmキューブ水槽がおすすめです。
水槽台
水槽は30cmキューブ水槽専用の水槽台に設置しましょう。
照明
幅30cm水槽に適合したものを選びます。
水草を植える場合は明るさを示すlm(ルーメン値)に着目して高いものを選ぶと良いでしょう。魚だけの場合は、安価な物でも問題ありません。
フィルター
はじめての方には水中フィルターがオススメです。
水中モーターで汚れを吸い込み、濾しとって綺麗になった水をまた水槽に戻すフィルターで、専用ろ材がセット済みなため電源を入れるだけで動作する扱いやすいのが特徴です。
水槽外にフィルターがはみ出さないので、水槽外をすっきりコンパクトに設置できます。
底床
水質に大きく影響を与えないものであればほとんどの種類が使用可能です。
ペンシルフィッシュは弱アルカリ性の水はあまり好まないため、水質を弱アルカリに傾けるサンゴ砂はあまり向いていません。
弱酸性を好むカラシンの仲間はソイルが最も良いでしょう。大磯砂もオススメです。
ソイルであれば、水洗い不要でそのまま水槽に投入できるのもメリットです。
その他、石灰質を含まない砂利・砂・ソイル系であればお好みで選んでよいでしょう。
ヒーター
26℃設定の、水量25L以下に対応したオートヒーターで十分です。
80W程度が目安となります。
フード
フレーク、顆粒どちらのタイプも食べます。 顆粒の場合、できるだけ小粒で浮上性のものが良いでしょう。
水温計
ヒーターが正常に稼働しているかどうかの動作確認に必要です。
数字の読み取りがしやすい、お好みのサイズ・デザインのものを選ぶと良いでしょう。
正確性を求める方は、デジタル式のタイプもオススメです。
カルキ抜き
水換えの際の必需品です。
多くのご家庭では水道水を使用していると思います。水道水には魚にとっては有害な塩素が含まれており、この中和のために使用します。
コンディショナー効果も付加させた製品もあります。なお、水道水ではなく井戸水を使用しているご家庭では、使用しなくとも構いません。
バクテリア剤
水槽の立ち上げを早めるろ過細菌(バクテリア)です。
水槽の立ち上げ初期に添加すると水槽の立ち上がりが早くなると言われています。
水換えホース
水槽の水換えの際に必要なサイフォン式ホースです。
砂利の中からゴミだけを吸い出せるタイプの製品が理想的です。1週間に1回程度、このホースを用いて水槽内の汚れを吸い出します。