熱帯魚図鑑 - ノソブランキウス | チャーム

ノソブランキウス

  • 淡水
  • 海水
  • 弱酸性
  • 中性
  • 弱アルカリ性
ノソブランキウス
名称
ノソブランキウス
学名
Nothobranchius rachovii
分類
カダヤシ目アプロケイルス科 ノソブランキウス属
別名
分布
モザンビーク
全長
6cm程度
飼いやすさ
普通
熱帯魚飼育の基礎が押えられていれば、飼育が可能です。
水質の悪化に弱く、病気を発症しやすいのでその点に注意が必要です。
幅広い水質・水温に適応できますが、高温だと成熟が早くなります。
初期費用
普通
飼育だけなら水槽、フィルター、ヒーターの基本3点セットがあれば、飼育可能です。
水槽サイズは小型の30cm水槽、フィルターは安価な投げ込み式フィルター、ヒーターはオートヒーターでも十分ですが、温度可変式だと良いでしょう。
混泳のしやすさ
工夫次第
同種間でも争うことがあり、オスがメスを追いかけ回す性質が強いです。
水草などの十分な隠れ家があればペア飼育が可能になります。
別種で、サイズが同じ程度であれば混泳が可能ですが、繁殖を狙うのであれば1ペア飼育が良いでしょう。
水草
可能
水草との相性も抜群です。
優雅になびく水草レイアウトにノソブランキウスを泳がせることで、大変美しい水景を表現できます。
水草をかじったりすることもありません。
水温
普通
20~28℃と比較的幅広い水温に適応が可能です。
23℃前後の低めの水温で飼育すると、より長く飼育を楽しむことができます。
一般的な温度可変式ヒーターがあると水温の調整が楽です。
寿命
短い
寿命は短く、自然下では1年程度です。
水温を低くすることで成熟を遅めて、1年以上飼育を楽しむことが可能です。
また、繁殖が可能であり、その点を含めると長期間楽しむことができます。

ノソブランキウスについて

ノソブランキウス

飼育・繁殖共に可能ですが、グッピーなどと比較するとやや難易度は上がります。
オスは美しい見た目ですが、メスは比較的地味な見た目をしているのも特徴的です。
野生種も改良品種も仕上がったオスは格別の美しさで、その美しさから、宝石に例えられることもあります。
とりわけ、ラコビーはノソブランキウスの中でも人気が高く、アルビノなどの改良品種が作られています。
ラコビー以外にも、次のような美しい種類や品種が存在します。
流通量が安定している種類ではギュンテリーやパトリザイなどがいます。

【ノソブランキウス・ギュンテリー】
タンザニア、ザンジバル島原産のノソブランキウスです。ノソブランキウスの中でも古くから知られ、ポピュラーな種類です。赤い尾びれと黄色い体色の対比が美しく、水草水槽の中でも一際目立ちます。ラコビーとは異なり弱酸性の水は好まない傾向にあります。また、水温も18~25℃と、ラコビーより低い水温を好みます。

【ノソブランキウス・パトリザイ】
ソマリア原産のノソブランキウスです。ノソブランキウスの中でも大きな背びれを持ち、やや小型の種です。ブルーの体色に真っ赤な尾びれの対比が美しく、尾びれの黄色い改良品種も知られます。水質はラコビーよりやや中性寄りの水を好み、水温はギュンテリーと同じ18~25℃に適しています。

バリエーション

ノソブランキウスの飼育方法

給餌
  • 浮上性
  • 顆粒
フレークでも顆粒でも、どちらも食べます。口が小さく、顆粒なら小粒のものを与えましょう。顆粒の緩沈下性タイプがおすすめです。
1回5分で食べきる程度の量を、1日2~3回程度に分けて与えるのが理想的です。
食べ残しが出るようであれば、網ですくい取りましょう。
水温
  • 20~28℃
25℃前後が適温で、20~28℃と幅広い水温に適応が可能です。
基本的な飼育には、飼育水槽サイズに適したヒーターが1本あれば十分です。
長く飼育を楽しみたい方は23℃前後で飼育するのが良いでしょう。
以下を目安にしてください。
・水温が20℃を下回る場合はヒーターが必要です。
・水温が30℃以上になる場合は冷却ファンを使用してください。
・水温が35℃以上になる場合は、クーラーも必要です。(水温が35℃以上の場合は、飼育環境自体の見直しをおすすめします)
換水
  • 週2回
  • 約30%
週に2回、3分の2程度の水を残して水換えします。
新しい水は水槽の水と同じ温度に合わせておき、カルキ抜きなどで塩素を中和してから入れます。
病気
  • コショウ病
  • コショウ病
    春先や秋口など、水温の変化がある時期に発生しやすい病気で、体表に非常に細かい粒が付きます。
    白いコショウをかけたような症状からコショウ病と名が付いたとされています。
    ウーディ二ウムという寄生虫が体表に寄生することによって発症する病気です。
    メチレンブルーやマラカイトグリーンなどの青色系の色素剤の魚病薬が有効です。
    白点病と似たような病状を確認することができますが、白点病より小さいので発見しにくく、悪化しやすいです。
    感染力が強いだけでなく、進行が比較的早いので、早期発見・治療が重要になります。
    塩分で予防することができるので、可能であれば塩分を入れるのが良いでしょう。
特徴
  • 泳ぐ宝石
ノソブランキウスは熱帯魚の中ではマニアックなジャンルですが、人気もあり、一定の流通もあります。
ラコビーはノソブランキウスの中でも特に美しく、「泳ぐ宝石」と例えられることもあります。
頭部のオレンジと体側のブルーが特徴的で、婚姻色が出るとさらに鮮やかな色になります。
尾びれが赤いタイプのロケーションも含め、多くのバリエーションを持つのも本種の魅力のひとつです。
また、自然下では寿命が約1年なので、年魚ともいわれています。

ラコビ―以外にも、魅力的な種類が数多く存在します。
入荷頻度は高くはないので、見かけた時が買い時です。

ノソブランキウスの生態

グッピー

分類的には卵生メダカの仲間に属します。
大まかにいえばメダカの仲間ですが、日本のメダカとの親戚関係は遠いとされます。
むしろ、卵生ではあるものの日本のメダカよりは、本グループと同じカダヤシ目に属するグッピーやプラティなどの方がまだ比較的近いようです。
ノソブランキウスは雨季と乾季がはっきりしている地域に生息しており、乾季には水が干上がってしまう過酷な環境に暮らしています。
ラコビーの生息地であるモザンビークは乾季が4カ月も続き、河川は少なく、沼や池などが多い傾向にあります。ラコビーはその沼や池に生息しています。
活動ができるのは雨季に限られ、繁殖が可能な時間はさらに限られています。そのため、派手な色彩で必死にアピールをするのでしょう。
また、水が干上がってしまう乾季を生き残るべく、卵は乾燥に耐えられる特別な形質を獲得しました。

現地では乾季になると水が干上がってしまうため、親は死んでしまいます。
残された卵は4カ月間乾燥に耐え、再び雨季に入るとふ化します。

過酷な環境でも種を存続させるために編み出された、驚異的な進化の例といえるでしょう。
まさにアフリカの神秘。類まれなる生態は興味深く、そして魅力的なグループです。

ノソブランキウスのグループは飼育下で繁殖可能で、雌雄判別も容易です。
オスは鮮やかで、メスは比較的地味な見た目をしています。
また、先の生態の通り繁殖形態はかなり特殊で、卵を一度休眠させる必要があります。
乾季の状態を再現しなければふ化しないため、産卵後の卵は水から出し、一定の温度・湿度保った状態を維持しなければなりません。

産卵方法も少し変わっており、まずピートモスに雌雄で近づいていき、産み付けます。
1回の産卵数は個体によって異なりますが、産卵回数はほとんどの個体が1回で終わります。
産卵行動が確認できたらピートモスを取り出します。また、産卵行動が確認できなくても、1~2日に1回は産卵していないかピートモスを確認する必要があります。
水に入れたままだと卵がダメになってしまうからです。

産卵後、取り出したピートモスの水気を切り、ビニール袋に入れて保管しましょう。
直射日光が当たらない場所に保管する必要があるので、水槽台の下などに入れておくのが良いでしょう。
一定期間休眠させた後、卵に稚魚の目が確認できたらピートモスの入った袋に水を入れて激しく振ります。
その後、ピートモスごと卵をプラケースなどに入れておくと、1~2日程度で稚魚がふ化します。

ノソブランキウスは昼行性です。夜は底や水草の陰でじっとして眠っています。
ライトはあってもなくても飼育には問題ありませんが、あった方が鑑賞性は良いでしょう。

ノソブランキウス飼育セット

ノソブランキウス飼育用品の選び方

水槽
扱いやすく、美観にも優れる30cmキューブ水槽がオススメです。
水槽台
水槽は30cmキューブ水槽専用の水槽台に設置しましょう。
照明
幅30cm水槽に適合したものを選びます。
水草を植える場合は明るさを示すlm(ルーメン値)の高いものを選ぶと良いでしょう。魚だけの場合は、安価なものでも問題ありません。
フィルター
初めての方には水中フィルターがオススメです。
水中モーターで汚れを吸い込み、こしてきれいになった水をまた水槽に戻すフィルターです。専用ろ材がセット済みのため、電源を入れるだけで動作する扱いやすいのが特徴です。
水槽外にフィルターがはみ出さず、水槽周りをすっきり設置できます。
底床
ノソブランキウスの場合、ソイル系または砂利系がオススメです。
ソイルなら水草を育成する際にも便利です。
水質は弱酸性~弱アルカリ性に適しているので、サンゴ砂以外であればほとんどの床材が使用できます。
種によって異なるpHが若干違うので、主の特性に合わせて調整してください。
ヒーター
26℃設定の、水量25L以下に対応したオートヒーターで十分です。
80W程度が目安となります。
水温を23℃前後で維持します。長く飼育を楽しみたい方は温度可変式ヒーターが良いでしょう。
フード
フレーク、顆粒どちらのタイプも食べます。顆粒の場合、できるだけ小粒で浮上性タイプが良いでしょう。
餌付けにも苦労することはほとんどなく、与えれば食べます。
水温計
ヒーターが正常に稼働しているかどうかの動作確認に必要です。
数字の読み取りがしやすい、お好みのサイズ、デザインを選ぶと良いでしょう。
正確性を求める方には、デジタル式のタイプがオススメです。
カルキ抜き
水換えの際の必需品です。
家庭の水道水には魚にとって有害な塩素が含まれており、この中和のために使用します。
コンディショナー効果を付加させた製品もあります。
なお、井戸水を使用しているご家庭では、使用しなくとも構いません。
バクテリア剤
水槽の立ち上げを早めるろ過細菌(バクテリア)です。
水槽の立ち上げ初期に添加すると水槽の立ち上がりが早くなるといわれています。
水換えホース
水槽の水換えの際に必要なサイフォン式ホースです。
砂利の中からゴミだけを吸い出せるタイプの製品が理想的です。1週間に2回程度、このホースを用いて水槽内の汚れを吸い出します。
卵管理用品
ノソブランキウスの繁殖に欠かせない、卵の管理用に使えるピートモスです。
当店でもピートモスを用いて産卵を成功させた実績があります。
繁殖床材として使うため、ピートモスは煮沸してからお使いください。